武蔵野の風 夏の夜の香り


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夏の夜に輝く日本の夏祭り

少し間が開いてしまったが、夏が来ていた。

夏は、他の季節よりも夜の闇が深い。
膜のように張った空気中の水蒸気が、視界を遮るのか。

夏の夜に燦然と輝くのが、祭りである。
祭りは、夏の夜の闇の深さと合う。闇夜の中、どこかに太鼓の音が響く。
夜という日常が、突如として祭りの輝く光によって終わらされ、光の中の非日常的な空間が現れる。時間も、空間もその場所では普段の流れと違うかのようだ。
光に照らされ、屋台がある。そして絶えず太鼓の音が聞こえる。
そのリズムは、私達の太古の記憶を呼び覚ます。

あの光が闇を切り裂き、非日常が現れる光景は、他にも昔遭ったことがある。
あれは、20年以上前、アメリカの砂漠の中を家族で旅行している時だった。
夕闇の中、ハイウェイを進む。前も後ろも車はいない。
すると、地平線の遥か彼方に光の点が見え、それが段々と大きくなり近づいてくるではないか。
それが、ラスベガスだった。
砂漠の中に浮かぶ非日常の世界が、旅に疲れた私達を迎え入れてくれた。

しかし、日本の夏の夜は、ラスベガスと根本的に異なる。
空気の中の密度が違うのだ。水蒸気を含む空気の重さ。
それがこの国の何千年にもわたって培ってきた人間関係と文化を表しているのではないかと、私は時に感じる。

闇に響く太鼓。
大地がなにか声をあげている。
そして漏れ出る光。
膜のように私達を包む湿気に富んだ空気。

それが、この国の、この武蔵野の夏の夜なのだ。